左近山の道路

 
左近山には魅力的な施設や公園がたくさんありますが、それらと住まいを結ぶ「道」にはどんな特徴があるのでしょうか?多様な公園や植栽も左近山らしさですが、そこにアプローチする道にも、多様性や左近山らしさが見つかるのではないかと思い、この調査では「道」に着目することにしました。
 
今やGoogle mapを見れば、どこに道が通っているかは一目瞭然ですが、道を構成する幅や素材などの基本的な情報がまとまった資料は意外にありません。公共の資料を参照すれば法律で定義された幅員を知ることはできますが、パッと見で特徴が分かるような資料ではないなという印象です。なので、この調査ではパッと見で左近山の特徴が分かり、私たちが歩くときに役立つような「道」まとめマップを作りたいと思います。
 
上記のような理由から、調査では植栽などが設置されていない通行できる部分を「幅員」と定義しgoogle mapの航空写真とストリートビューにて調査を行いました。
調査範囲は車道の幅員のみ1-5街区、歩道の幅員・舗装材・柵は1街区です。
道路の幅は0.3-0.5mごと、舗装材や柵は種類ごとに色を分け、まとめたのが以下のマイマップです。
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このページの内容は左近山オープンデータプロジェクト2021にて作成されました。 担当:山本実南
 
 
目次
 

2.調査結果

 

【幅員】

地図を見ると、左近山団地を構成する道のうち、車道は外周のものほど幅員が広い一方で、歩道や遊歩道の幅員は外周でも内周でもあまり変わらないのが特徴であることが分かりました。
これらから、歩行者にとってはその場所がどのような場所かを把握する手掛かりは車道の広さにあると考えることもできます。
また、1街区の公園にアプローチする遊歩道の幅は様々であり、ヒエラルキー構造は持たないようですね。
(筆者撮影)

【舗装】

🛣️舗装材の種類(写真) (1)2022/5/6 2:382022/5/6 2:38
舗装を見ると、車道脇はコンクリート平板+タイル埋め込みという仕上げになっているものが多いが、駐車場への入口部分は、タイル埋め込みをなくす仕上げに変えてあるみたいです。車が通りやすくするためかもしれませんが、通行人にとっても車が通る可能性に気付きやすい仕様とも言えそうです。
また、横断歩道の前の舗装はアスファルトになっているため、何らかの決まりがあると考えられます。
(筆者撮影)

【柵】

🛣️柵の種類(画像) 2022/5/6 2:382022/5/6 2:40
柵の種類は舗装材よりも多く、ちょっとしたデザインの違いが見られました。柵は舗装材よりも目に入りやすい高さにあるため、柵の種類は歩行者の行動にも影響を与えそうです。
基本的には交差する道路に区切られるまで同じ柵の仕様になっていることがほとんどですが、車道を挟んで反対側では柵の種類が違う場合があることから、柵を管理する主体が異なる可能性が伺えました。
(筆者撮影)

3.現地調査を踏まえた追記

現地調査では、既存の地図データからは見えてこない時間変化を伴う様々な現象が見られました。これらをどう取り入れていくかがデータをより充実させていく鍵になりそうです。今回はその中でも興味深い2点についてお話しようと思います。
 

【劣化による使いづらさ・危険】

歩いていて目に入ってきたのは、舗装のひび割れやタイルのズレ。これらが生む大小様々な段差は既存のデータでは見つけにくい部分ですし、日々その状況は変わっていきます。ですが、このような情報こそ日々の生活や災害時に役立つ情報です。
逐一調査に出かけるのもいいですが、色々な人が左近山で生活する中でこうした危険を見つけたら記録をしていく、そんな収集方法ができれば面白いのではないかと思います。今回の調査結果をまとめたGoogleマイマップはそうした使い方が可能な媒体ですので、今後の調査では左近山団地にお住いの皆さんのお力をお借りできれば嬉しいです。
(筆者撮影)
 

【植栽の豊かさ】

実は調査内容を検討する段階ではずっと調査項目に入っていた植栽。既存データから収集するのが難しいことから、今回の調査では項目から外れていましたが、実際に歩いてみると、住民の皆さんが工夫を凝らした植栽がたくさん見られました。このような魅力を地図に落とし込むためには記録の仕方から検討が必要ですが、今後の調査では植栽の記録を行うとともに、それを舗装材や歩道の広さと合わせて評価していきたいと思います。
(筆者撮影)

4.まとめ

左近山の道にどんな魅力や特徴があるのだろうか、と考えて始まったこの調査でしたが、歩いていて楽しい道がどうかを見出すためには道幅、舗装、柵の他にも植栽の配置や周りの建物の高さなど更なる情報を集めた上で、その評価の仕方や重ね合わせの方法を検討する必要があることがわかってきました。ですが、安全性に関しては一定の特徴が見えてきており、特に舗装材や柵の仕様に工夫が見られました。これらの情報を統合すると左近山団地のお散歩安全マップなどの作成にも役立つのではないでしょうか。
調査全体の反省点としては、手動測定によるものであるため、誤差が多々生まれている可能性があること、そして調査項目が足りず地図の重ね合わせといった分析ができなかったことが挙げられます。今後は、3で述べたような時間で変化していく情報を落とし込みながら評価をしていく展望を見据えて調査を継続していきたいと思います。

5.調査方法

情報元・情報の集め方

(例)・情報元
  -情報の種類:収集方法
 
・Google earthの航空写真
-道路の幅:人が歩ける部分を幅員とみなし、Google earthの計測機能で計測
-道路の舗装材(大まかな種類):目視
 
・Googleストリートビュー
-道路の舗装材(より細かい切り替わりなど):目視
-ガードレールの種類:目視

調査範囲

車道の幅員:1-5街区
歩道の幅員・舗装材・柵:1街区

情報の分析・編集の方法

・情報のまとめ先:Google マイマップ
・情報のまとめ方
-幅:0.3-0.5m間隔で道路の幅を分類し、分類ごとに色を分けて線データとして記入
-舗装材:種類ごとに色を分けて線データとして記入、名前で伝えにくいものは追記欄に写真を添付
-ガードレールの種類:種類ごとに色を分けて線データとして記入、名前で伝えにくいものは別ページに写真を添付
 

編集後記

調査当時は筆者自身が左近山に行くことができなかったので、Google の航空写真やストリートビューのみを用いて調査できる方法を模索しました。手探りの調査だったこともあり、結果をあまり想定していなかったので、Googleマイマップに調査結果を落とし込んで初めて左近山の道路の特徴が見えてきた時にはとてもわくわくしました。ですが一方で、実際に左近山を歩いて回った時の印象は地図で見えていた特徴ともまた異なるものであり、地図上の分析と歩いている時の感覚の齟齬をどう埋めていくかも今後も課題だと感じています。他にも、データを用いながらも測定方法は一番アナログな方法だった点などまだまだ改善点は多いテーマなので、今後も引き続き調査を進めていければと思います!